引導
引導
いんどう
迷える人を導いて、ほとけの教えに入らしめること。
法華経方便品に「無数の方便をもって衆生を引導して諸の著を離れしむ」また法師品に「諸の衆生を引導して、これをあつめて法を聴かしめん」等と説かれている。
そして、これが葬儀にあたって、導師が死者に対して人生の無常を説き、迷いの世界から悟りの世界に入る心構えを説き聞かせるという意味に用いられるようになったものである。
その故事をたずねれば『浄飯王般涅槃経』(『正蔵』一四巻七八一頁)に「浄飯王命終ス(略)仏自ラ香炉ヲ執リテ棺前ニ在テ導引シテ行ク」『大智度論』(『正蔵』二五巻五七頁)に「大愛道比丘尼涅槃ス、仏自ラ前ニ在テ香炉ヲ擎ゲ引導ス」などとあり、中国に於ては唐時代の禅僧、百丈懐海が葬儀にあたって引導の法語をのべ、これが次第に広まって日本にも伝えられ、禅宗の伸張と共に各宗の葬儀に採入れられるようになったものである。
日蓮宗の引導では、『法華経』『観普賢経』等の経文、日蓮聖人の御遺文、天台、妙楽を始めとする諸先師の釈文などを依用して、死後の安心を説き示すのである。
また人界に訣別して、霊山浄土におもむくにあたって教えを説くという意味から、教訣(きようけつ)ともいう。
《『遺文辞典』教学篇「引導」の項、『岩波仏教辞典』「引導」の項》