大乗坊発心の弁
大乗坊発心の弁
だいじょうぼうほっしんのべん
繰り弁の一つ。
九老僧の大乗阿闍梨日澄(大乗坊)が、日朗の師日蓮聖人を思う孝心に感服し、発心してその弟子となる情景を語った弁。
本弁は弘長元年(一二六一)五月一二日、伊豆流罪となった聖人を由比ケ浜に見送った日朗は、聖人の留守を守るため松葉谷の草庵に帰る。
翌二年その草庵に比叡山より大乗坊が、聖人より一念三千の法門の教化を受けに訪ねてくる。
日朗は聖人が遠方布教中であるから帰るまでと、大乗坊を逗留させる。
草庵での大乗坊は悠悠自適の生活を送っていたが、ある朝、日朗の朝勤の声に目を覚し、その述懐の声を聞く。
それにより聖人流罪の事情と、日朗の右腕が、その時役人に折られたものであることを知る。それでもなお師匠の無事を祈る日朗の姿に、感動した大乗坊は、発心して弟子になりたいと申し出る。
日朗は年少であることを理由に辞退するが、日昭の取り成しにより弟子とする。
日朗一八歳、大乗坊三〇歳の時で、以後大乗坊日澄は、日朗の右腕として給仕した。
これは、日朗・日澄の偉徳を通して、給仕の尊さを信者に語る弁である。