覚禅鈔
覚禅鈔
かくぜんしょう
真言宗金胎房覚禅(生没年不詳)撰。
著者に因んで覚禅鈔、巻数によって百巻鈔、住房によって浄土院鈔と呼ばれている。
本書は真言宗の諸仏諸尊諸法の経軌、口伝、図像等を集め載録したもので、台密の『阿娑縛抄』に対し、東密の事相の集成として貴重な資料である。
増上寺の写本を定本とした『大日本仏教全書』では全篇を九部に分け、諸仏部、仏頂部、諸経部、観音部、文殊部、菩薩部、明王部、天等部、雑部として七冊に収めている。
撰述年代は明確ではないが、現存写本の奥書によると、著者四〇歳前後から七五歳の建保五年(一二一七)に至る三〇余年間に、高野山往生院、勧修寺浄土院等で撰集筆録されたものと解る。
日蓮聖人が京畿・高野山で東密を習学していた時には既に本書は成立していたのだが、この書によって当時の東密の事相を知ることができ、聖人が修めた真言密教の実状を推察することができる。
《『岩波仏教辞典』「覚禅鈔」の項、『国史大辞典』三巻「覚禅抄」の項》