船守
船守
ふなもり
楽劇。
田中智学の作。
昭和六年(一九三一)四月一二日、立正大師(日蓮聖人)六五〇遠忌記念の国柱会大式典にて演ぜられる歌本として出仕者に配布されたもの。
伊豆伊東・川奈に流罪された日蓮聖人と日蓮聖人を助けた船守弥三郎夫婦との厚情をうたいあげた聖伝絃楽。
一幕二場。
「呼戻したる日の光 合伊豆の浦曲(うらわ)の岩蔭に。
合五濁の闇をてらしたる。
三十余日のおん化導。
命をかけし宮仕みやづかえ。
誠意(まごころ)こめし夫婦をば。
御感(ぎよかん)の余り。
吾父母が。
伊豆の川奈に生れ来て。
我と恵むとのたまひし。
世にも貴きいさをしに。
名を船守と召し給ふ。
人は死してもかはな崎。
法のりの渡りに船守が。
千載朽ぬ美談をば。
かたり伝へて伊豆の海。
深き績(いさ)と稱(たた)へたり」の詞で結び、気高い日蓮聖人に難儀も苦労といとわずに力の限り供養した弥三郎夫婦の姿を描きだしている。
短いながら田中智学による国性劇作品中の代表作の一つ。