妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

祖書学

そしょがく #4307

祖書学

そしょがく

日蓮聖人遺文を研究対象とする学問研究の方法。
日蓮聖人の著作・書状・図録等を遺文・御書・祖書等ともいい、聖人の思想・義・生活・行動等を明らかにする基本的文献であるばかりでなく、当の政治・社会・文化を考察するうえにも貴重な文献である。
しかし著作・書状・図録等五〇〇余篇の遺文は、真筆・写本・刊本として伝来されてきた。
祖書学はかかる日蓮聖人遺文―祖書を研究対象とし、学・書誌学・古文書学・文献学的立場からの研究考察方法である。
これを「祖書学」と名付けたのは浅井要麟で、その著『日蓮聖人教学の研究』で体系化し、遺文研究の一つの進路を明示した。
本書によれば祖書学真蹟の真実性を検討する古文書学的研究と、遺文の真偽を確定するための文献学的研究の二つの方法を提示する。
古文書学的研究は書風・字体・花押・墨色・紙質等、真蹟に現れた外部の徴候を考察する外的研究と、真蹟の様式・用語・文体・日付等、その内容を解剖して内なる問題および実を考察する内的研究である。
そして遺文の真偽を確定するための基礎的・根本的研究の立場が文献学的研究であるとする。
(一)には義および思想的考察、(二)には時代的特異顕著な言語・文字に基づき検討・批判する語法および文章的考察、(三)には録内・録外御書目録、録内・録外諸写本による遺文各篇の考察に基づく書誌および文献的考察、(四)に社会史・文化史上の史実・代思想・社会思想等の題を検討する社会史・文化史的考察の四方法を提示する。
そしてかかる客観的考察から遺文に一定の標準を定め、その体系化をはかることを祖書学の目的・任務とした。
浅井要麟によって体系化され基礎づけられた祖書学はその後進展し、真蹟遺文の研究は、聖人の花押の変遷の発見とそれによる系年の考察、聖人の時代的な書風の変化からの系年の考察により推進され、更にはこれまた祖書学の一分野である録内・録外御書成立の問題、真蹟を欠失する部分を復元するに最も重要な写本遺文に対する考察もすすめられている。
加えて偽撰遺文の史料価値をみなおす立場から、偽撰・偽書に対する全般的な考察の必要が宮崎英修によって提起されている。
浅井要麟『日蓮聖人教学の研究』、宮崎英修「日蓮教団史研究の課題」『大崎学報』一三一号、寺尾英智『日蓮聖人真蹟の形態と伝来』

← 事典トップ