恩師道善御房報恩の弁
恩師道善御房報恩の弁
おんしどうぜんごぼうほうおんのべん
繰り弁の一つ。
祖伝中恩師道善御房御遷化の報に接し、『報恩抄』をしたため、弟子日向、口実に命じ恩師の御墓の前で読みあげる段である。
建治二年(一二七六)三月一六日恩師道善御房御遷化の報に接した日蓮聖人は、大恩ある師の御房御存生中に今一度法華一乗の御法門を御聞かせ申し上げたかった。
しかし今となってはそれもかなわぬ。
ならばと一室にこもって書きあげた『報恩抄』二巻をもたせ、弟子日向、口実を使いとして清澄に向け出発させるのであった。
使いの二人は、清澄で日蓮聖人の兄弟弟子である浄顕、義浄に面会、師よりの御悔みのことば、供養の品々をおそなえし、いよいよ師の御房手むけの一文を、はじめは旭森、ついで道善御房の御幕の前で「日蓮の弟子日向口実、師の命をうけてはるばる甲州より参上いたしました。
御生前中申し上げる機会がありませんでした法華一乗の法門、これよりお読み申し上げます」と涙ながらの朗読。
一山の大衆も涙を流して聴聞。
二上人はその後一字一石の経石を埋め身延に帰山した。