岩本入蔵の弁
岩本入蔵の弁
いわもとにゅうぞうのべん
繰り弁の一つ。
日蓮聖人が岩本実相寺の経蔵に入り、一切経を研鑽せんとする情景を語った段である。
聖人は正嘉・正元年間(一二五七-一二六〇)に続出した天変地夭・飢饉疫病の原因を、経説による文証によって再確認し、その起るべき必然性・理証を窮め、これらを実証する現証を広く求めて、対策を考えるため一切経蔵に入る決意をした。
本弁は聖人が実相寺を訪れ、同寺の山主であり、比叡山時代の学友であった智海法印に会う。
智海は聖人を経蔵に入れるが、仏敵であるとして外より鍵をかけてしまう。
ある雪の降る日、松葉谷より日朗が聖人の安否を尋ね訪れる。
聖人は経蔵の中より『立正安国論』の構想のもととなる一切経中の明文を記した紙片を「万一一命に及ぶ時には、その志を継ぐように」と日朗に手渡す。
それを知った智海はその紙片を奪い、それを読んで初めて聖人の学徳に感服し、謝罪して聖人の教導を受けるという内容で、法華経最勝の所信を確認した聖人の偉徳を、信者に語る段である。
これに日興の入信を加える場合もある。