臨終曼荼羅
臨終曼荼羅
りんじゅうまんだら
人の臨終葬送に際し必要とされる曼荼羅。
この曼荼羅の特色は、曼荼羅中に「閻魔法皇」「五道冥官」が諸尊とともに勧請されていることである。
この原由は日本仏教の流れの一面において地獄・極楽の思想があり、それは地獄の恐ろしさを知らせ、善を勧める意図で展開したものであろうが、結果としては地獄の方がより強烈に影響を残すことともなった。
それゆえ死に直面したときの恐れの現れとして曼荼羅に救済を託し、地獄の代表たる閻魔法皇・五道冥官が特に勧請され授与されることにもなったとうかがえる。
それは人々の生死の苦悩からの解脱を願ったものであり、死を自覚したときの恐怖の心に安心の世界を与えたものでもある。
臨終曼荼羅の形態は、ほぼ近世初頭より見出せる。
なお閻魔法皇・五道冥官が勧請されていても全ての曼荼羅が臨終曼荼羅とは断定できない。
それは時代が降ると諸尊と並列して勧請され、慣用化されたものもあるからである。
閻魔法皇・五道冥官が勧請された座配位置、またその字の大きさ、更に脇書内容をも検討して割出すことが必要である。
《松村寿巌「日蓮宗〈臨終曼荼羅〉の成立と展開」『日蓮教学の諸問題』》