妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

聖祖降誕の弁

せいそこうたんのべん #4517

聖祖降誕の弁

せいそこうたんのべん

繰り弁の一つ。
日蓮聖人は貞応元年(一二二二)二月一六日の朝、貫名次郎重忠を父とし、梅菊を母として房州(千葉県)小湊に誕生した。
その情景とそれにまつわる因縁・奇瑞を語る段である。
みずからを「民の子」また「旃陀羅が子」と、賤しい身であると称した聖人が、法華経に「日月の光明の能く諸の幽冥を除くが如く、此の人世間に行じて能く衆生の闇を滅す」と説かれているように、本化上行菩薩の再来として末法に法華経を弘める「法華経の行者日蓮」に完成してゆく感動の生涯の予見的開幕の弁である。
本弁は、母梅菊が、毎朝拝する日天子が大白蓮華の上に乗り、懐に入る夢を見て聖人を懐胎した奇瑞に始まる。
そして誕生の日は、仏陀が抜提河のほとりにおいて入涅槃された日の翌日に当る深き因縁、また誕生の日には、天地歓喜して小湊の浦には時ならぬ白蓮華が花開き、庭門には産湯となる清泉が沸々と涌き出したという、幻想的・神秘的瑞相を内容とし、信者聖人の偉徳の一端として語り、憧憬を深めさせる弁である。

← 事典トップ