絵曼荼羅
絵曼荼羅
えまんだら
絵曼荼羅は日蓮聖人の文字曼荼羅(十界互具大曼荼羅)を絵画に表したものが基本的な形態である。
いま鎌倉時代の制作とされる三島市妙法華寺の絵曼荼羅(重要文化財)を取上げるならば、その構成は次のとおりである。
上方中央に首題、左右に釈迦多宝の二仏、少し下って本化の四菩薩、次の段に文殊、普賢、弥勒、薬王の迹化の菩薩、その次段に舎利弗、目連などの六声聞および左右外側に日月両天子、その下の段に鬼子母神を中央に十羅刹女、更にその下に天台、伝教の両大師、最下段に天照、八幡の二神、更に画中の両側面に四天王。
この妙法華寺の絵曼荼羅は尊像の数が多い方であって、一般には迹化の諸菩薩と声聞が省略されることが多い。
また逆に不動、愛染両明王と、まれには大黒天その他が描かれることもある。
また最下段中央に日蓮聖人の姿は必ず描かれ、これを欠く初期の妙法華寺の絵曼荼羅はむしろ例外的な存在である。
絵曼荼羅には画中上部に大きく多宝塔を表す場合がある。
その際の多宝塔には白い漆喰塗りの亀腹を特徴とする一重の屋根をもつ宝塔と、木造の架構の顕著な二重の屋簷を有する多宝塔の別がある。
塔中に釈迦、多宝の二仏が描かれ、二仏の中央の牌に首題が記される。
塔を表さない絵曼荼羅では、二仏は宝台の上に描かれる。
首題は上方に大きく金字などで書かれる場合と、塔中と同様に二仏の間に宝牌を立てて示される場合がある。
多宝塔を中央にする絵曼荼羅は「宝塔絵曼荼羅」とよばれる。
塔を作らぬものは単に「絵曼荼羅」とか「絵像本尊」などと称されるが、両者を含めて「絵曼荼羅」と総称することができる。
《『日蓮辞典』「絵曼荼羅」の項》
図版