約部
約部
やくぶ
「部に約す」と訓じ、天台大師智顗の教判である五時八教の五時の部において論ずること。
五時とは華厳時・鹿苑時・方等時・般若時・法華涅槃時をいい、約部は釈尊一代の部において論ずるので爾前の円と法華の円には異なりがある。
即ち各部を跨節(それぞれの分を越えて全体にわたって釈する)するゆえに、爾前の円は兼帯の円、法華の円は純円である。
爾前の円を当分の円・相待の妙、法華の円を跨節の円・絶待の妙と称する。
このように約部判は奪って論ずるゆえに約部奪釈という。
奪釈とは厳格に釈することで、法華経の円が爾前の円を超えたもので、法華経の絶待の妙に対し爾前諸経は麁法にすぎないことを明かす。
これに対し約教判は八教において論ずるゆえに爾前の円と法華の円に異なりはないという立場である。
《『遺文辞典』教学篇「約部」の項、『日蓮辞典』「約教約部」の項、『天台学辞典』「約部約教の開顕」の項》