私可多咄
私可多咄
しかたばなし
中川喜雲による噺本。
初版は万治二年(一六五九)刊、全五巻。
計一九七話より成る笑話小話集で、題材の範囲が極めて広く、和漢の故事を始め、各種の物語にも取材し、和歌・俳句・漢詩を入れ、また著者自身の見聞・創作も用いて、多数の小話としている。
各話は小題をつけず、その冒頭から「昔」あるいは「むかしむかし」で始まる形式をとり、読み物として興味深いだけでなく、その書名からも看取できるように著者は明らかにこれを、身振り動作をつけ噺の表情を豊かにすることで落語の演出に一つの展開を与えた。
当時流行の仕形話として扱っている点が注目される。
揶揄、諧謔、また辛辣な世評風刺が全篇にあふれ、就中、当時の仏教各宗派の有り様は、その好餌としてしばしば題材となった。
法華宗関係では巻三に、自分の飼い猫にまで受法させようとする頑固な法華気質が笑いを呼んでいる。
《『国史大辞典』六巻「私可多咄」の項》