毒鼓
毒鼓
どっく
「どくく」とも読む。
毒を塗った鼓のこと。
『大般涅槃経』巻九に「譬えば人有りて雑毒薬を以て用いて大いなる鼓に塗り、大衆の中に於て之を撃って発せしむ。心聞かんと欲すること無しと雖も、之を聞いて皆死するが如し」とある。
毒鼓は大衆の中でこれを打てば、聞く者をして皆死に至らしめるとされる。
仏性は一切衆生に具わっているという教えは、聞く者をして皆その煩悩を滅せしめることに譬える。
聖人は「謗法者に向ては一向に法華経を説くべし。毒鼓の縁と成さんが為なり」(定二四二頁)といい、正法を聞信せぬ衆生に強いて法華経を説き聞かせることは、法華経を謗ずる罪を犯すことになるが、かえって法華経に縁を結び、やがて成仏の因となる。
法を聞こうとしない者に強いて説くこと、逆縁の結縁を毒鼓の縁という。
末法の衆生は、本未有善、逆縁の機であるから聖人は折伏行を実践されたのである。
《『遺文辞典』教学篇「毒鼓」「毒鼓の縁」の項、『日蓮辞典』「毒鼓」の項》