本迹帰宗論
本迹帰宗論
ほんじゃくきしゅうろん
一巻。
優陀那院日輝(一八〇〇-五九)著。
『充洽園全集』第四編所収。
本書は日蓮教団が中昔より本迹の一致・勝劣の両派に分かれているため、初心の行者がどう理解してよいか迷ったり、帰趣するところの宗旨を知らない状態にあることを嘆き、法華経の本迹二門の意味する所を明し、教行の要路を知らしめよう、ということを目的として執筆された。
本書の前に著されたとされる『本迹日月燈』が大段三科をもって、細科に細科を重ねて論述しながら、未完のままで中断してしまったのに対し、本書は僅かに十条を論じて、大義を得させようとするのである。
いわば『日月燈』が演繹的であるに対し、本書は帰納的に論じられているといえる。
本書の構成は本迹勝劣法門元由、本迹二門雙立大旨、本勝迹劣法相分別、本迹二門教観帰宗、一致勝劣名目興廃、浅深勝劣傍正表裏、迹因本果料簡釈義、開迹顕本法相用捨、本門簡択重重進退、宗旨実義本経所在、の十条より成っている。
本書では本迹について、所依の正教に約すれば一向本門に依るが、所立の正行に約すれば本迹倶亡、所詮の妙理に約すれば本迹双立、所対の通機に約すれば本面迹裏、所用の助行に約すれば本正迹傍、という五つの視点をあげ、観心の実修・実証の大道の追求という意味から本迹の義意を明らかにせねばならないことを主張し、従来の一致・勝劣は迹門と本門を切り離して、全く別体としてみる思考であり、これは教相に執するものとして否定されている。