日蓮聖人御法海(浄瑠璃・並木鯨児・正三作)
日蓮聖人御法海 (浄瑠璃・並木鯨児・正三作)
にちれんしょうにんみのりのうみ
浄瑠璃(時代物)。五段。
作者、並木鯨児・並木正三。
添削者、浅田一鳥・並木宗輔。
宝暦元年(一七五一)一〇月、大坂豊竹座初演。
清澄山に修行した日蓮聖人は諸国遊歴の後、再び清澄山に帰山する。
判官東条左衛門景信のため危難に遭ったが、法力によって免れた日蓮聖人は、伊豆に流されることになる。
なおも日蓮聖人を害しようとして後を追った悪役人たちの船は、霊験によって沈められる。
たび重なる異変に驚いた鎌倉の執権北条長時は日蓮聖人を呼びもどすが、禅僧のざん言をいれて竜口で処刑しようとする。
しかし、このとき大雷雨となり、またも日蓮聖人は助かる。
次に謡曲『鵜飼』の伝説に基づく場面となる。
鵜飼勘作は殺生禁断を破り獄につながれる。
一方、本間六郎左衛門は北条長時の父君の薬用のため、申(さる)の年月がそろった申年申月生れの男子を捜しているうちに、勘作の子経市がそれに当ることを知る。
老母は勘作の命を助けるための金ほしさに経市を渡してしまうが、時すでにおそく勘作の死体が運ばれてくる。
老母は自殺し、妻も投身しようとするが、そこに通り合せた日蓮聖人は経市を取りもどし、日像と名のらせて弟子とした。
このあと身延山に庵を結んだ日蓮聖人は、かつて薬王丸の時代の許嫁七里姫を救い、また経市を助けた罪により蟄居(ちつきよ)していた本間は、遂に本心を現して悪判官東条を討ち果す。
本作は初演以後たびたび上演されたが、歌舞伎にも取り入れられるなど歌舞伎の日蓮記物に大きな影響を与えている。