怨霊
怨霊
おんりょう
怨を懐いて死んだ者の悪霊。
幽霊。
妖霊。
生霊(生きながら恨んでいる者に憑る霊)等に対しての亡霊をいう。
怨を懐いた死霊が、夜叉悪鬼の如く恐ろしい形相を現し、人の心身を悩乱し、死に至らしめる。
この思想は中国魏晋時代より起り、わが国では平安朝初期より盛んになった。
『三代実録』七には、清和天皇貞観五年(八六三)五月二〇日神泉苑において崇道天皇、伊豫親王、藤原夫人、橘逸勢、文室宮田麿呂らが事に坐して誅せられ、冤罪によるこれらの怨霊が、疫病を繁発し、多数の人を死亡させたとして、怨霊の祟りを和げるために御霊会が行われたとある。
『今昔物語』巻第二七に、「落雷で命を落した者の霊が、その所を去らず年久しく住して不吉の事があり(第一、第二)、またその姿を現さず、物に托して人の見る所となり、己の勇と力を誇示して、これを射落さんとした男は、その物に箭を射当てたがその夜に死んだ」(第四、第一三)と伝える。
威徳熾にしてその言行が理に叶うならば、鬼神も犯すことはできぬが、虚剛にして猥りに軽んじて鬼罰神崇を招いてはならぬ。
但し、鬼は怯弱の対手なれば犯し、強暴なればこれを畏れるといわれているが、吾々の人間関係においても現前していることであり、これなど鬼の所為と考えるべきか。