一闡提
一闡提
いっせんだい
原語はicchantika。
一闡提伽・一闡底迦等に作り、略して闡提ともいう。
もとの意味は「欲求しつつある人」であるが、断善根、信不具、極欲、誹謗正法のもので、成仏の因をもたないものをいう。
『大乗涅槃経』では、これを無目・非法器・不可治・焦種等と名づけ、また四重禁、五無間罪を犯す極悪者の成仏を認めながら、唯一、一闡提のみは不成仏と説いて、これを排除している。
さて、『涅槃経』には、末世の悪比丘が、いたずらに経典を作りかえ、利養のために法を説き、非法の財物を蓄える等の腐敗堕落の所行を挙げるが、ここで「利養」という語に注意して、一闡提の原義を「利養を貪求するもの」と規定すると、この経のいうところがはっきりする。
即ち、一闡提を、四重禁、五無間罪などの犯罪の系列でこれを見るのではなく、違った角度から見るとその実態を把むことができる。
即ち、前者の罪は教団内の問題故、赦すことが出来るが、後者のように利養に貪著して、教団の利権を外部からおびやかす存在は決して許すことはできない筈である。
しからば、彼らは具体的にいかなる派に属するか。
教義の点についても修行の点からいっても経典受持者の立場と拮抗する実力を有する。
他の大乗、他の菩薩乗にあった者達と考えられる。
《望月良晃「一闡提とはなにか」『印度学仏教学研究』一七巻二号、『遺文辞典』教学篇「一闡提」「悪人成仏」の項、『日蓮辞典』『広説仏教語大辞典』『新版仏教学辞典』『岩波仏教辞典』「一闡提」の項》