香奠
香奠
こうでん
香典・香銭・香資ともいう。
奠はすすめる義、仏前または死者の霊前にすすめる香物をいい、典はものを買い取る趣旨で銭・資の字を当てるのも同じで『勅修百丈清規』に「香銭ハ仏前ニ供エル香ノ費用ヲ扶ケル銭」という。
つまり香華の代りに贈る銭貨の謂で、仏事法要を営む家の負担を軽くしようという趣旨であったが、近頃では香奠返しと称して物品を返す風習が行われ、或は寺院に対しては御回向料又は下山料として返す慣わしもある。
『壒嚢鈔』六に「当時僧斉なんどに出す料足を香田とは何ぞや、香田と書くは当字(あてじ)歟。
香銭(コウデン)と書く也。
銭をテンと読むは宋音歟。
銭の字にテンの音(おん)なし。
香奠なるべし、禅宗に礼銭と云ふ詞なり」と。
地方によっては村香奠(むらこうでん)と称し、部落の人達が米麦野菜などを贈り合って喪家を助け、葬費の軽減を計った風習も残っている。
《『国史大辞典』五巻「香奠」の項》