都市問題
都市問題
としもんだい
都市を規定する要件は、歴史と場所によって多様であり、これを一括して規定することは容易ではない。現在一般に承認されている傾向は、一定地域に人口が集中し政治、経済、文化の中心的機能を果す地域を「都市」と呼称している。
近代社会は産業社会として捉えられるが現代の都市は近代技術のもたらした地域社会の構造的変質の一つである。
近代都市の形成には二つの形態がみられる。
一つは農村人口の減少を伴いながら都市人口が増加する形でみられるもので、産業化の激しい都市ほど農村人口を吸収する比率が大きい。
大都市に集中してくる人口はそれぞれの固有の郷土的伝統や慣習、信仰等を脱落させ都市生活の中で平均化し画一的人口をつくりあげてくる。
一方、都市自体が膨張するときに都市はその周辺地域である農村を都市の文化の中に組込み、農村はその伝統を亡失させられてしまう。
都市への過度の人口集中を過密化と呼び、農村の過度の人口減少を過疎化と呼ぶが、いずれも近代社会の都市化状況のもとで生起する都市と農村の問題の構造的結果である。
過密化の問題は都市に犯罪、スラム、精神異常、青少年問題等々、社会病理的現象を生じさせ、狭義の都市問題はこれを指す。
広義には都市における過度の人口集中による交通問題、地域社会的結合の希薄化、血縁的結合の弱体化等として捉えられる。
このような都市化状況への流れの過程でとくに農村から都市へ流入した人口、また都市化して伝統的文化を亡失させた地域にとって生活の信念体系もまた崩壊せざるを得なくなる。
近代の歴史にみられる新興宗教の発展は、このような伝統的信仰や慣習の崩壊と表裏の関係として捉えることができ、とくに農村出身の地縁、血縁の絆から切り離された人々の精神的拠り所としてこれら新興宗教が疑似的人間関係を提供することによって成立していることを見逃すわけにはいかない。
一方、既成の教団にとって、これら変貌する地域社会と市民の精神的欲求に応えていくことが課題である。