妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

身延七面山紀行

みのぶしちめんざんきこう #4869

身延七面山紀行

みのぶしちめんざんきこう

歌人若山牧水(一八八五-一九二八)の書いた紀行文。
大正一三年(一九二四)六月一六日に大悟法利雄と登った折の作品。
『若山牧水全集』所収。
ホトトギスの啼く声を求めつつ歩いた身延山七面山やその周辺の風景について、心に浮ぶままに描写したもの。
登った日が「折よくも宗祖六百五十一年目の当日だといふ事で、開闢大法会といふが行はれてゐた」ので、五-六○人の僧侶により盛大な法会が営まれた模様を述べ「楽器の響、読経の声、立ち籠る煙と共に堂内に満ちて見るからに眼覚しいものであった」と書いている。
また、「此処に籠って独り静かに燃え立つ心を抑へながら水を汲み枯枝を拾った姿の一人の憎侶を思ひ浮ぶるは他のいづれの金ぴかものの日蓮宗の看板を見るより遙かになつかしい事であった」と、身延山に籠居した日蓮聖人の姿にも思いをはせている。
このに詠んだ歌に「ひとつものに寄り合ひ静もれるわれの心にひびきとほりて郭公聞ゆ」「呼びかはし鳴きみだれたる鳴声の水恋鳥を聞くは苦しき」「幹ほそく伸びたちたればそよ風にそよぎやはらかき山あぢさいの花」などがある。

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