糺物語
糺物語
ただすものがたり
仮名草子。
承応三年(一六五四)刊。
明暦三年(一六五七)以降の多数の版本が現存している。
寛文一〇年(一六七〇)の書籍目録に「二冊・糺物語・日心」とあり、延宝三年(一六七五)版本に日心作と記されているので作者は日心という本宗の僧であろうと推測されている。
儒・仏・神各宗教の信奉者を法華者が次々と破斥するという構成。
まず儒者に対しては太極と真如、五常と五戒とは同じものだが末法応時の教法が必要であるとし、念仏者には末法の現在では弥陀も法華経所説のものがふさわしく、浄土三部経は法華経に摂取されると説く。
禅者が楞伽経の拈華微笑の事実を指摘すると経典によって不立文字を説明する矛盾をつき、真言者が真言得果即身成仏の旨を主張すると法身大日も釈迦牟尼によって説かれたもので頼りにならぬとする。
最後に神道者が日本開闢以来の伝統を賛えると諸神の本地は仏菩薩であるといってこれを退ける。
そして不安なこの世であるからこそ妙法の曼陀羅を護持して題目を唱えるべきであると提唱するのである。
なお書名は法華の主旨をただすことと、問答の舞台とした下賀茂神社近くの糺の森に因んでつけたものと思われる。