日蓮上人(山崎紫紅作)
日蓮上人(山崎紫紅作)
にちれんしょうにん
山崎紫紅の書いた新体詩。
明治三六年(一九〇三)一〇月、金港堂刊。
釈尊の使者である「巨人日蓮」を新体詩の形式で詠じた日蓮聖人伝。
草稿を見た高山樗牛は縦横無碍の筆法を評価し佐々醒雪の手で発行された。
「序」は「高祖の一生みな詩なり」と詠じ、「二月蓮華」は生誕の折の宇宙に響く初声を歌う。
「朝暾題目」は命を法華経に奉る唱題の声を示す。
以下「有明記」「小町折伏・上」「立正安国論・下」「龍口」「大曼陀羅」「本化浄地」「涅槃の巻」と続き、一代の足跡に対する讃歌を高くうたいあげ、詩による聖人伝としての特色を鮮明にうきぼりにしている。
またこのうち、「大曼陀羅」には「法を説きつる我が口は/これ十界を救ふなり/道を弘布する我が足は/これ人界を導けり」とうたわれ、法華経二十八品の趣きをとりながら、釈尊の使者として生きる日蓮聖人の心魂を刻みつけている。