日本人日蓮(本山荻舟著)
日本人日蓮(本山荻舟著)
にほんじんにちれん
本山荻舟(一八八一-一九五八)の書いた評伝。
昭和一八年(一九四三)三月に天祐書房より刊行。
大正一〇年(一九二一)に報知新聞に連載した小説『日蓮』の内容を改め法華経信仰に基づく日蓮聖人の実践を通して国民精神の練成に役立たせるという動機から「日本精神の代表者」としての日蓮聖人観をあらたに提示した作品。
全二〇章にわたって「日本仏教の大導師」であり法華経の行者である日蓮聖人の抱負を綴り、更に「大日本精神の代表者たると同時に全仏教の人格化たる日蓮をして一宗一派の開祖というごとき小天地に閉じこめておくことは法華経の広宣流布に障害をいかになしたかを顧みるべきだ」と指摘、「全日本人の共有であるべき日蓮」を明らかにしている。
この作品では「剛毅孤高の日蓮」が浮き彫りにされ、特に国家の実権を私する覇道の為政者や邪智の諸宗を諫暁する「法戦の勇者」としての日蓮聖人の姿を捉えている。
また立正安国の諫暁・折伏が国民全体に対して懺悔滅罪をせまった大警策であり、それは慈悲の現れであったこと、日蓮聖人の身延入山は「忍受勧持の積極行」としてなされたこと等を明らかにし、万人の罪悪に連帯責任を負い、衆生全体の罪を引受けてその消滅に努め一切衆生を救う慈悲を使命としたのが末法の導師日蓮聖人の一生であった点を書きしるし、更に「日蓮の真骨頂は偉大なる日本人にある」点を指摘しようとしている。