大和田建樹
大和田建樹
おおわだたけき
(一八五七-一九一〇)
明治時代の文学者。
伊予(愛媛県)宇和島生まれ、東京高等師範学校教授。
和歌・新体詩を作り、詩集『詩人の春』『いさり火』がある。
「汽笛一声新橋を」と歌われる「鉄道唱歌」の作者として一躍名を高めた。
明治三一年(一八九八)に、日本歴史譚第一一編に評伝「日蓮」を発表。
日蓮宗の信徒として、その信仰と詩・文学者の立場から日蓮聖人の伝記を著述し、日蓮聖人の伝記を通して読者に堅固不抜の心を修養すべき点を強調した。
同書の序には次のように記されている。
「男児と生れ出でし身の、成す事なくて朽つべしや。よし敵兵は強くとも、心の壘(とりで)かたくせば、立てし思の一すぢに、ならでや遂に止みぬべき。読め日蓮の伝、学べ堅固不抜の心」
「殺せ叩けと罵りし、敵の囲(かこみ)を切りぬけて、遂に立てたる題目の、旗手雄々しき日蓮宗。六十余州を風靡して、皷声ひびかぬ方もなし。少年の人や、習へ勇進不退の心」
更に「実に日蓮は宗教家として尊敬すべき人物なるのみならず、又よく一個の英雄として永く世に伝へられるべき人たりしなり。余は常にいふ、薄志弱行の少年には、宜しく日蓮の伝記を読ましむべし」と語っている。
明治四三年(一九一〇)五四歳で没した。
《『国史大辞典』二巻「大和田建樹」の項》