鬼字相承
鬼字相承
きじそうじょう
鬼は梵語でいう訶利底Hārītīの擬訳である。
鬼子母神のことである。
鬼字相承とは鬼子母神の「鬼」の字に約して修法上の口伝を師資伝授していくこと、またその内容をいう。
一般には鬼とは人に少利を与え、あるいは巨害を与え、また少利巨害を同時に与えるものの総名をいう。
常人の眼眸には触れず、時に相を現しても殆どは偽相で、真相をみせることはないものである。
ところが鬼子母神は前身邪悪の念あって幼児をさらって食していたが、仏に説ききかされて仏に帰し、以後正法の行者を守護することを約束するに至った。
これによって「鬼」の字のツノ「ノ」を取って「鬼」(図参照)」の字をもって鬼子母神にあてるのである。
更に修法上の口伝として「鬼」の字に約して、九字の口伝その他種々の口伝がある。
また十鬼百鬼という修法上の用語がある。
これは「」のごとく「鬼」の横に文字を書き、特別の意味を表すものである。
詳細は無漏の口伝である。
《『法華験家訓蒙』》