養珠夫人御縁起
養珠夫人御縁起
ようじゅふじんごえんぎ
撰者未詳、写本一巻。
慶長一三年(一六〇八)、江戸城中における日蓮宗と浄土宗との宗論の結果は、その後日蓮宗側の対論者常楽院日経およびその弟子らへの圧迫となって現れ、これを本宗では慶長法難と呼ぶ。
ときに身延の第二二世心性院日遠は、日経を江戸に応援して再び浄土宗との対論を要請したが、これが徳川家康の逆鱗にふれて、磔刑に処せられようとした。
平素より深く日遠に帰依する家康の側室お万の方は、日遠に殉じて法華経に一命を奉げる決心をもって家康を説き、ついに日遠の処刑を中止せしめたという一件の顛末を記す。
お萬の方(一五八〇-一六五三)は、紀伊家の祖頼宣、水戸家の祖頼房の生母、薙髪して養殊院と号した。
本書は、旧紀州徳川家『南葵文庫』蔵本。