雙林
雙林
そうりん
雙林とは拘戸那城跋提(くしなじようばつだいが)のほとりの沙羅樹の林のこと、沙羅(しゃら、または、さらとも読む)śālaの音写、堅周樹と漢訳する。
龍脳香科に属する熱帯植物、幹は長くのび、淡黄色の小さな花をつける。
釈尊は沙羅雙樹に四方を囲まれたこの林の中で、二月一五日、頭を北に向けて横臥し、八○歳で入滅された。
そのとき沙羅雙林は時ならぬ花が開いたといい、また樹木が白一色に変り、あたかも白鶴のように美しくなった。
ゆえに、これを鶴林ともいう。
釈尊は入滅にのぞみ、最後の説法、いわゆる『涅槃経』を説かれた。
その入滅時と場所を象徴して日蓮聖人は『涅槃経』を「雙林最後の説」(定三九六頁)とよぶ。また「鶴林の文」(定五〇二頁)などともいう。「此の経文は仏最後に雙林の本(もと)に臥てかたり給ひし御言なり」(定一四〇五頁)といい、「仏最後の御遺言」(定一二四九頁)とも述べられている。
《『遺文辞典』歴史篇「雙林」の項》