諷誦文(日什)
諷誦文(日什)
ふじゅもん
一章。
玄妙阿闍梨日什(一三一四-九二)が嘉慶二年(一三八八)八月二一日に著わした。
正本は京都寂光寺所蔵。
『諷誦章』とも称する。
日什の上足六人(日義・日仁・日金・日穆・日全・日妙)の一人である日妙(大蔵卿阿闍梨)の小祥忌供養のために諷誦したもの。
日妙は日什のもとに出家得道し、一八歳で遠州府中見付玄妙寺に晋み、その年の嘉慶元年(一三八七)八月二七日病に罹り入寂した。
日什は日妙の遷化を愁歎し、本章を著して追善としたのである。
なお、小祥忌における『諷誦文』のほかに百ヵ日忌において諷誦した『諷誦文』一章があるが、修辞上の異なりが少しあるだけで内容はほとんど変らない。
日什には「真間帰伏状」「真間起請文」「法華本門戒血脈」「日什門徒等可存知事」「定日什」「与妙顕寺書」等の文書類のほか特出すべき著述がないため『諷誦文』は日什の教義を知る唯一の著述といえる。
顕本法華宗では宗門の根本聖典とする。
注釈書には京都寂光寺第九世本昌院日達の『置文諷誦抄』二巻(延享三年/一七四六)、小林日至著『諷誦文講義』一巻(明治四四年/一九一一)、坂本日桓述『諷誦章講義(大正一五年/一九二六)等がある。
『諷誦文』『置文諷誦抄』は共に『宗全』五巻「顕本法華宗部」一に収録されている。