一天四海五大洲の大日蓮
一天四海五大洲の大日蓮
いってんしかいごだいしゅうのだいにちれん
評論家で日本主義者であった木村鷹太郎の著作。
昭和三年(一九二八)教文社より発行。
「箱庭的小日蓮」ではなく「真の大日本の日蓮」の世界的感化を示そうとした、日蓮聖人についての評論。
「日蓮はギリシア神話の神としては日光の神アポロンであり、人としては哲人ソクラテスである。あるいはアポロンとソクラテスの二人を合せた完全なる一人格である。日蓮のいた地理は古代日本たるインドであった。トルストイの『復活』は、佐渡の日蓮伝記が材料になっており、日蓮の運命が太陽暦の十二ヵ月の名になっている」などといった突飛な着眼によって空想的な伝記を書き上げた。
その目的は、日蓮聖人の世界的感化力を強調することによって西洋崇拝を否定し、太古の日本の精神的偉大さを鼓吹するところにあった。
荒唐無稽な評論と「大日蓮の精神」に名を借りた日本主義の主張による伝記で、木村は井上哲治郎・元良勇次郎・湯本武比古らを発起人として「大日本協会」を結成した。当時この動きに対抗するため姉崎正治は大西祝・岸本能武太らと丁酉会を結成して宗教家懇話と諸宗教観の混合・混同に警鐘を鳴らした。