承久記
承久記
じょうきゅうき
承久の乱(一二二一)を素材とした軍記物語。
作者不詳。
一三世紀後期成立か。
日蓮聖人の承久の乱に対する関心は非常に高い。
それは官軍が敗北して三上皇が流されたという事実への凝視から始まる。
日蓮聖人はその結末を官軍が邪法をもって祈ったからであると信じ、法華経の勝義を立証する例としている。
承久の乱には宇治川渡河に活躍した南条七郎を始め日蓮聖人の檀越の縁者が多く参戦しているから、聖人の周辺には承久の乱関係の記録や語り伝承が豊富にあり、説法資料として大いに利用された。
それらの記録や語り伝承は『承久記』成立の重要な資料ともなったものであるから、日蓮聖人の遺文と『承久記』との間に共通記事が見出されるのも当然なことであるといえる。
ただ、日蓮聖人が『承久記』として文学的構築を達成した作品(現存諸本の祖本のようなもの)自体を享受したか否かは明らかでない。
《今成元昭『平家物語流伝考』、『国史大辞典』七巻「承久記」の項、『遺文辞典』歴史篇「承久の合戦」の項、『日蓮辞典』「承久の乱」の項》