妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

寺泊御発足の弁

てらどまりごほっ(はっ)そくのべん #1837

寺泊御発足の弁

てらどまりごほっ(はっ)そくのべん

繰り弁の一つ。
日蓮聖人が越後寺泊より佐渡に出発せんとする情景を語った段で、佐渡流罪の説となるもの。
聖人は文永八年(一二七一)一〇月一〇日依智を立ち、二一日寺泊に着いた。
そして順風を待って七日、石川右衛門吉広の宅に滞在した。
本弁は聖人が弟子達と共に石川吉広の宅に滞在中、石川一族は、その教化を受け法華経の信者となる。二七日佐渡に向け出船となった聖人に、一同が供を願い出る。
聖人は涙ながらにその孝心を感謝し、勧持品の「数々見擯出」の文を引いて「此の日蓮は、弘長元年には伊豆の伊東、この度は佐渡ケ島、この数数の二字は、天台伝教も身に読み給はず、日蓮一人これを読めり」と、法華経の故に佐渡に流されることは、石を黄金に替えるも同様だとその法悦を述べる。
そして「法華経の金言符合する以上は、やがて赦免再会の時もあらん、法のため身命を愛されよ」と、弟子信者を励まし出船するという内容で、聖人の法華経色読による行者としての自覚、慈悲心に満ちた偉徳とを信者に語る弁である。

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