妙見堂
妙見堂
みょうけんどう
妙見菩薩をまつる堂のことであるが、江戸後期には本所柳島(東京都墨田区業平橋)法性寺の妙見堂が信仰を集めて特に著名であった。
歌舞伎脚本『お染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』や『東都名物錦絵始(おえどめいぶつにしきえのはじまり)』の幕明きの舞台のように妙見堂境内の情景はしばしば江戸の世話狂言に取入れられている。
妙見菩薩は北斗星で、妙見堂境内の松の大樹はその降臨の神木とされた。
そして「高さ三丈余、枝四方へ垂茂し、幹の太さ凡そ五尺廻り」のこの神木の「中程、両断に枝を拍(う)ちし空(うろ)の中に一匹の白蛇棲みて、太さ凡そ四五尺廻り、長さ四五丈」と伝えられ、妙見菩薩にかけた願がかなえられる時にはこの蛇(神霊)の姿を見ることができると信じられていたという(『十方庵遊歴雑記』)。
法性寺には妙見講が組織されており、「毎月妙見参り、朔日に同、本所柳島妙見法性寺(毎月千巻だらに、正・五・九月一五日かいちょう)参詣常にも多し」(『東都遊覧年中行事』一月一五日条)と記され、あるいは「どうぞかなへて下さんせ、妙見様へ願かけて、云云」(大津絵節)と歌われるほど盛んであった。