堀之内
堀之内
ほりのうち
日円山妙法寺のこと。
堀之内村(現東京都杉並区)にあったので「堀之内」「堀之内さま」と呼ばれ、また六老僧の一人である日朗作と伝えられる日蓮聖人像が信仰を集めたので「堀之内のお祖師さま」とも、単に「お祖師さま」ともいわれた。
宝暦年間(一七五一-六四)から刊行された洒落本以後、滑稽本・人情本などの戯作、あるいは歌舞伎脚本・笑話などに堀之内の名が多く見られるようになるが、特に病気平癒にきく「お張御符(はりごふう)の評判が高い。
その張御符について葛葉山人は「堀の内の張御符、堀の内妙法寺祖師堂にて出る張御符の札をかり請て、病人の枕元にはりおき、七日目ごとに上へ上る、廿一日目にはすみやかに病気平癒なすこと、妙法の功力うたがひ有べからず、ことに難病又は長病の人は三七日を過て、又札を張かへるなり、尤古き札をかへし、あらたに札を乞請て張なり、諸人よくしるところなれば、しるすにおよばずといへども、祖師の利益をいはんがためにここに載す」(江戸神仏願懸重宝記)と記している。
なお寛政一〇年(一七九八)に成った『無事志有意』の笑話にも「アイ今日は堀の内へ」「それはおくたびれ」「イヤもふ鳴(成)子から先が道がわるくて」とあるように、江戸市中からはかなりの距離のある田舎道に参詣人たちは難儀をしたらしいが、そのことがかえって堀之内信仰の盛んであったことを証している。