一本花
一本花
いっぽんばな
これは葬儀に関するものの一つで、遺体を北枕に安置し、その枕辺に小さな机を用意し、香炉、灯明、枕団子、枕飯などと共に華瓶に一本だけ挿した花を供えることをいう。
この一本花には多くは樒(しきみ) が用いられるが、椿、柾木、または造花の菊、百合、椿、芥子などを用いるところもあるというように、地方によって供える花は異なるが、何れも一本であることは変りなく、故に一本花というのである。
また何故一本に限るかという理由については、葬式を出すというような不幸なことは二度とあってほしくないとの気持を現すというのが俗間に広くゆきわたっている説であるが、柳田国男『葬送習俗語彙』には、「死者の魂の依代(よりしろ)として供える故に一本に限るのである」と解説し、藤井正雄『仏教儀礼辞典』によれば、「釈尊が、クシナ城バツダイ河のほとりで御入滅なされし時、他国に在ってそのことを知らなかった大迦葉が、それから七日の後、一枝の花を持った外道に会い、釈尊の入滅を知らされ、その一本の花が彼の地より得来ったものであると聞かされたという『遊行経』(『正蔵』一巻)の説に習って供えるのだ」としている。
以上の三説の内、何れを決定的な理由とするかということは、決し難いようである。
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