五千起去
五千起去
ごせんきこ
法華説法の座から五〇〇〇人が退席したことをいう。
法華経方便品は、教えを説いても無駄だとする釈尊と、説いて欲しいという舎利弗との三止三請の後、釈尊が『法華経』を説こうとされた時に五〇〇〇人の人々が退席したことを示している。
自分たちはすでに悟りを得ているからもはやこれ以上は教えを聞く必要がないといって起ち去ったのである。
方便品はこの人々は「罪根深重にして及び増上慢にして、未だ得ざるを得たりと謂(おも)い、未だ証せざるを証せりと謂えり」とし、残った人々は「枝葉なくもっぱら貞実なるもののみあり」となしている。
釈尊は退坐を見て退亦佳牟(たいやくけい)「それもまたよかろう」と言って制止しなかった。
教説の名高い一場面である。
これら増上慢者は捃拾を役目とする『涅槃経』で救われることになる。
《『遺文辞典』教学篇「五千起去」の項》