妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

海苔の弁

あまのりのべん #3974

海苔の弁

あまのりのべん

繰り弁の一つ。 海苔の供養を受け故郷小湊を想い出し、涙を流したという段である。
日蓮聖人身延入山翌年の文永一二年(一二七五)二月一六日に、故郷安房のの新尼御前から手紙と荷物が届けられた。 手紙には「私も故郷に帰り新年を迎えて来ました。 日蓮聖人に安房の海苔を送ります」という文面。
聖人は海苔の袋を手にして包を開いてみると、冬中に採取した乾し上げの海苔。 いつしか聖人の目頭が光り、「この海苔は昔みし海苔なり。 色・形は変らないのに、何故日蓮の両親ばかりがこの世を早く去ったのであろうか。かたちがえなるうらめしさ、涙おさえがたし」と述べ、少しでも高い所に登れば、故郷の山河は見えなくとも立つ雲はみえるであろうと、木の根、岩かどをよじ登り、身延山五十丁の頂に立ち、海苔の袋を捧げて両親へ供養し、夕やみせまる頃、草庵に帰って来たという内容を、哀惜をこめ、聖人の孝養心を信者にうったえる段である。

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