三師御伝土代
三師御伝土代
さんしごでんどだい
大石寺四世日道(一二八三-一三四一)著。
日蓮聖人・日興・日目三師の伝記本で、「御伝土代」(日蓮聖人)・「日興上人御伝草案」・「日目上人御伝土代」からなる。
内容は三師伝とも一代記的体裁をとってはいるものの、その記述方法は簡略かつ素朴であり、伝記本として普遍性をもちうる内容は備えていない。
成立年代は未詳であるが、その成立を日道没年の暦応四年(一三四一)としても、日蓮聖人滅後五九年目で、極めて早い。
その成立年代を、更に引き上げる可能性ももつ。
従って本書は日蓮聖人伝記本のなかでも、最も早い時期に書かれたものの一つとして、内容的にも聖人伝研究の上で貴重な資料を提供する。
例えば、日蓮聖人遺文に見られない次のような事柄を、「御伝土代」(日蓮聖人)に記す。
日蓮聖人の誕生日については「後ノホリカワノインノ御宇、貞応元年二月十六日夕ンジャウナリ」とあり、立教開宗後の清澄寺追放日については「シカルアイダソノ日キヨスミ寺ヲヒンシツセラレ給オワン」とあり、また伊豆における念仏者の迫害について「イヅノ国イトウノハイル、ソノ国ノ念仏等アタヲナシドクガイヲオモヒ、ドクノキノコヲモチキタッテ聖人ニ奉ル、聖人コレヲフクシテアエテトガナシ」と記すが、これらの事柄はいずれも日蓮聖人遺文には見られず、聖人伝研究に貴重な資料を呈している。
また、「日興上人御伝草案」、「日目上人御伝土代」も簡略ではあるが、それぞれ日興・日目の伝記を研究する上で貴重な資料となっている。
なお、近時発表された研究に著者日道説を否定し大石寺六世日時(-一四〇六)説が提起されている(池田令道「大石寺蔵『御伝土代』の作者について」『興風』第十六号)。
《『宗全』二巻、『富要』五巻》