開迹顕本法華二論義得意鈔
開迹顕本法華二論義得意鈔
かいしゃくけんぽんほっけにろんぎとくいしょう
六巻。
広蔵日辰(一五〇八-七六)著。
永禄三年(一五六〇)述作。
『宗全』八巻所収。
正本は京都要法寺に蔵されている。
本書は無量義経・法華経・観普賢菩薩行法経の法華三部経を解釈したものであるが、文々句々の解釈ではなく、品々の解釈である。
日辰は本書以外に数多くの法華経註釈書を著している。
それらの中に法華三部経の品々について二つの問題点を挙げ、二論義式によって解釈した『略二教論義』二巻がある。
本書はそれを更に細かく問難答釈して解釈したものである。
この二書について日辰は、本書奥書に「人前の論義においては略本を用うべし、もし得意においてはこの本を用ふべきもの也」(四三九頁)と述べている。
本書の構成は第一巻に無量義経・序品・方便品、第二巻は譬喩品・信解品・薬草品・授記品・化城品、第三巻は五百品から安楽品、第四巻は涌出品・寿量品、第五巻は寿量品、第六巻は分別品から勧発品・鎮守論義から成り、寿量品に多くの紙数をさいている。
日辰は興門の流れを汲む日尊門流の京都要法寺一三世を継ぎ、要法寺教学を樹立した学僧で、本書はこの立場から法華三部を解釈すると共に、大石寺教学や日隆の八品教学を批判したもので、日辰の教学を知る重要な書である。
また巻末の鎮守論義は日辰の神祇観が知られる。