祈祷瓶水抄
祈祷瓶水抄
きとうびょうすいしょう
単に瓶水抄ともいう。
身延山第二二世心性院日遠が慶長一二年(一六〇七)四月二八日身延山で祈祷経について註釈したものである。
爾後解説書が出ないのを見ても、この抄の価値を知ることができよう。
その内容は科段を設けて解説しているが、釈文は祈祷経言上にまで及び勤経段、言上段を添えている。
撰文の解釈は勿論であるが伝授の方式は厳重を極め「加行無くしては之を授くべからず。
加行の方式は三七、五七、七七乃至百日等(略)又伝授の後も百日間欠如無く相続して之を読行すべし」(原漢文)とあり、読み方についても相伝されている。
元禄八年(一六九五)この抄の伝授を受けた下総中山の遠寿院日久は、その労苦を巻末に「右之一軸は身延山七面山百日参籠、並びに七度び参詣(三年間に)の砌、祈祷堂にて(雲切木剣の)日順の指南によって書写し奉る」(原漢文、取意補註)と書き加えている。
しかし、この抄の撰述によって、祈祷経が一般の僧俗から遠ざかったことも否めないことである。