生人鬼
生人鬼
せいじんき
『孔雀王経』には、生人鬼の名目のみ挙げて具さではない。
一説によれば、この鬼は、その著せんとする人の業因によって託するが、その原託の人を悩ます事は甚だ稀である。その人の煩悩力を借りて、他の人に著して悩害する。凡そ諸鬼が人身に魅著するのは、その人の業因による。
那婆曩無(ナバノン)鬼といって、人に託して善く技芸をなす鬼が、人に託するのをみて、自分もまたその鬼に託されることを望んでも、それは不可である。
また鳩槃荼鬼等が著するのを厭うても、その因縁があればこれは避けられない。
この生人鬼は、その因縁ある人に託するとき、その人の一恨一怒に乗してその相手の人を悩害する。
そしてその原託の人は、一朝の恨み一夕の怒りであるから、暫らくしてその事を忘失し、あるいは和解されても、この生人鬼はもと昏愚である故に、最初の恨怒に執著して退散しない。
生霊と似ているので誤り易い、また精神病とも診断されるので充分な注意が必要である。
死霊と死人鬼もこれに準じて覚知せねばならぬ。
この鬼は、加持力に遭うときは原託の人に帰ってゆくといわれる。
山陰、四国地方にいう「犬神」つきによく似ている。