日相本法華経
日相本法華経
にっそうぼんほけきょう
久成院日相(一六三五-一七一八)が開板した法華経のこと。
日相は尾張国葉栗郡(愛知県一宮市)の人。
同地の法蓮寺の日近の弟子となり、山科檀林に学び、のち法蓮寺に住した。
『日相本法華経』(以下『日相本』とよぶ)のほか『己心北斗』『御書和語式』『法華音義補闕』『隠中和歌』などの著述がある。
『日相本』は音点および仮名付の法華経として知られている。
初版本と再版本とがあり、初版本は元禄七-八(一六九四-九五)の両年、再版本(開結二経を欠く)は初版本の板木焼失のあと嘉永七年(一八五四)の刊行である。
初版本の跋文によれば、日相は心空の『法華音義』および既存の仮名付本である『嵯峨本(法華経)』伝写の誤りを正すために『日相本』を上梓したとし、その訂正の根拠を主として日遠の『法華随音句』にもとめ、ほかにも音韻書を尋ねたと記している。
しかし日相は『法華音義補闕』五巻を元禄一一年(筆を起したのは元禄七年-同書巻五跋)に上梓しており、その研鑚の成果が『日相本』に生かされていると考えるべきであろう。
法華寺所蔵の『日相一代書記述作並行法之日記』によれば、日相はこの『日相本』を「新嵯峨本」と名づけている。
なお昭和四六年には京都本満寺梅本鳳泰による復刻本『日相本法華経』が出版されている。
《兜木正亨「音点法華経の開板者・久成院日相上人関係資料から」『法華文化』二〇号》