一世一代功力妙法字
一世一代功力妙法字
いっせいちだいくりきのみょうのじ
歌舞伎脚本。
中村重助(一八〇七-一八四一)作。
天保九年(一八三八)一一月に江戸の中村座で初演。
日蓮聖人の生いたちから竜口法難、鵜飼勘作、七面山、土の牢などの事蹟を脚色した日蓮聖人の一代をまとめた作品である。
本作は三代目尾上菊五郎の隠退披露興行として上演されたもので、このときの五代目市川海老蔵の「菊五郎、せんだって怪我せしところ、日蓮の霊夢を見て追い追い全快のこと、このたび舞台を引き寺島へ引きこもり、松の隠居といい、又父名をつぎて松緑と改名し、植木いじりをすること。あとに取り残されました私、ほんの木から落ちた白猿なぞはなかなか一世一代などと申すことはできませぬ。これより若手衆の中へうち交り、杖にすがりましてなりとも百年も御見物様方の御目の邪魔をつかまつりまする(略)」という口上が伝えられている。