拂子
拂子
ほっす
払(ほつ)、払麈(ほつじん)ともいう。
獣毛、綿麻、樹皮のせんいなどを束ねて柄をつけたもので、起源はインドに於ける塵や蚊虻などを払う道具であって、『摩訶僧祇律』の記述によれば、白犛牛尾や馬尾で柄を金銀で飾った払を持つ比丘達があって、釈尊がこれを禁制されたとあり、「錦払、裂氎払、芒草払、樹皮払をゆるし、白い色のものは、壊色に染めて用いよ」と教えている。
そして、現行のような払子の用法、即ち導師の威儀を顕わすための法具として、白馬尾、白犛牛尾、柄は漆塗の白払を用いるようになったのは、中国の禅宗から始まったもので、日本では鎌倉時代に禅宗が盛行するにつれて次第に各宗に於いても葬儀、灌頂その他の法会の導師をつとめる僧が威儀具として用いるようになったものである。
このことから、法会の導師をつとめることを「払を執る」などともいうようになった。
なお、払子の用い方について、三振もしくは三回円相を画くなどの作法がある(『宗定日蓮宗法要式』平成23年改訂再版 二二八頁参照)が、唱える偈文は特にない。
《『岩波仏教辞典』「払子」の項》