女人某御返事
書下し
女人某御返事
[1](前欠)てみればとの(殿)もさわらず。ゆめうつつわかずしてこそをはすらめ。とひぬべき人のとぶらはざるも、うらめしくこそをはすらめ。女人の御身として、をやこのわかれにみをすて、かたちをかうる人すくなし。をとこ(夫)のわかれはひび・よるよる・つきづき・としどしかさなれば、いよいよこいしさまさり、をさなき人もをはすなれば、たれをたのみてか人ならざらんと、かたがたさこそをはすらるれば、わがみも(後欠)
現代語訳
女人某御返事
文永九年(一二七二)三月ころ、五一歳、於佐渡塚原、和文、定六一〇頁。
[1](前欠)てみれば夫ぎみもおいでにならない。ゆめともうつつともわからないようなかなしいおきもちでいらっしゃることでしょう。おとずれてくるはずの人がこないのも、うらめしくおおもいになるでしょう。女性のおたちばで、おやこのわかれにあたって、身をすてたり、出家をしたりする人はほとんどいません。しかし、ふうふのわかれはとてもつらいもので、おおくのひをおくり、よをすごし、つきをへ、としをかさねるにつれて、ますますこいしさがつのるものですが、とくに、おさないお子さんもおいでになるので、だれをたよりとしたら、一人まえにそだつかそだたないかと、いっぽうでは、そういうしんぱいもおありでしょうから、あなたご自身も(後欠)