桟敷女房御返事
書下し
桟敷女房御返事
[1]白きかたびら布一切給ひ了んぬ。
[2]法華経を供養しまいらせ候ふに、「十種くやう」と申し、十のやう候ふ。その中に「衣服」と申し候ふはなににても候へ、僧のき候ふ物をくやうし候ふ。その因縁をとかれて候ふには、「過去に十万億の仏をくやうせる人、法華経に近づきまいらせ候ふ」とぞとかれて候へ。あらあら申すべく候へども、身にいたわる事候ふ間、こまかならず候ふ。恐恐謹言。
[3]<日>二月十七日日>
[4]<人>日 蓮<花押>花押花押>人>
[5]<先>さじき女房御返事先>
現代語訳
桟敷女房御返事
弘安四年(一二八一)あるいは建治四年(一二七八)の二月一七日、六〇歳あるいは五七歳、於身延、和文、定一六六〇頁。
[1]白い帷布を一切れ頂戴いたしました。お礼申し上げます。
[2]法華経をご供養申し上げる場合、「十種供養」といって、十の仕方があります。その中に「衣服」というのがありますが、これは、何でもよろしいから、僧の着るものを供養することです。その供養の由来については、ある経文に、「過去の世で十万億の仏を供養した人が、法華経信仰の法悦を味わえるにいたった」ということが説かれています。そのことについてのあらましを申し上げたいのですが、体の具合が悪くて、とてもできません。失礼します。恐恐謹言。
[3]<日>二月十七日日>
[4]<人>日 蓮 <花押>花押花押>人>
[5]<先>桟敷の女房御返事先>