妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

南條殿女房御返事

全集 第7巻 2段 定本: #20290(定本の該当ページへ)

書下し

南條殿女房御返事なんじようどのにようぼうごへんじ


[1]八木*こめ二俵送り給ひ畢んぬ。度度の御志申し尽くし難く候ふ。
[2]〔それ水は寒積ればこおりとなる、雪は年かさなつて水精となる。悪積もれば地獄〕となる。善積もれば仏となる。女人は嫉妬かさなれば毒蛇となる。法華経供養の功徳かさならばあに竜女*りゆうによがあとをつがざらん。
[3]山といひ、河といひ、馬といひ、下人げにんといひ、かたがたかんなん(艱難)のところに、度度の御志申すばかりなし。
[4]御所労の人の臨終正念、霊山浄土*りようぜんじようど疑ひなかるべし、疑ひなかるべし。
[5]<日>五月二十四日
[6]<人>日 蓮<花押>花押
[7]<先>御返事
現代語訳

南条殿女房御返事


弘安元年(一二七八)五月二四日、五七歳、於身延、和文、定一五〇四—一五〇五頁。

[1]米二俵をお送りいただきました。たびたびのご芳志、御礼の申し上げようもありません。
[2]そもそも、水は寒さがつのれば氷となり、雪は年がかさなって水晶となります。人は、悪が積もれば地獄に落ち、善が積もれば仏になります。そして女性は、嫉妬深いものとされますが、そのとりことなって毒蛇になります。しかし法華経を供養する功徳が重なったならば、あの提婆品だいばほんで竜女が成仏をしたのと同じ道をたどらないはずがありましょうか。必ず成仏します。
[3]ここ身延は、山は険しく、川は急で、馬はあえぎ、人は苦しみながらようやくたどりつくような奥地ですのに、たびたびご供養の品をお届けくださる御志は、ことばに出していうことができないほどありがたく思います。
[4]ご病人が、ご臨終にあたって正しい信仰をお持ちになり、没後には霊山浄土へいらっしゃることは間違いありません。成仏疑いなしです。
[5]<日>五月二十四日
[6]<人>日 蓮 <花押>花押
[7]<先>御返事