現世無間御書
書下し
現世無間御書
[1](前欠)或はくびをきり、或はながされば、ととかれて、この法門を涅槃経・守護経等の法華経の流通の御経にときつがせ給ひて候は、この国をば梵王・帝釈に仏をほせつけて、他国よりせめさせ給ふべしととかれて候。さればこの国は法華経の大怨敵なれば、現世に無間地獄の大苦すこし心みさせ給ふか。教主釈尊の日蓮がかたうどをしてつみしらせ給ふにや。よもさるならば、天照太神・正八幡等はこの国のかたうどにはなり給はじ。日蓮房のかたきなり。すゝみてならわかし候はんとぞはやり候らむ。いのらばいよ〳〵あしかりなん〳〵。恐恐謹言。
[2]<日>二月十三日日>
[3]<人>日 蓮<花押>花押花押>人>
[4]<先>御返事先>
現代語訳
現世無間御書
建治三年(一二七七)二月一三日、五六歳、於身延、和文、定一二九二頁。
[1](前欠)法華経の勧持品などには、末法に正法である法華経を弘める者は、首を切られたり、流罪にされると説かれています。また正法に違背する国には、仏が梵天・帝釈天に命じて他国からその国を攻め寄せさせるであろうと、法華経の流通分である涅槃経や守護経に説かれています。されば、この日本は法華経を謗る大怨敵の国ですから、仏が現世に無間地獄の大苦を懲らしめるために少々ためされたのでありましょうか。また、教主釈尊が日蓮の味方になり日本にその罪過を罰して知らせたのでありましょうか。もしそうだとすれば、天照大神も八幡大菩薩もこの日本の味方をされることはありません。なぜならば、この日本は法華経の行者である日蓮を敵のように責めるからです。つめたいなら煮えたたせようとあせるのでしょうが、真言の修法などで祈禱をするならば、ますます災いを増すことになりましょう。恐恐謹言。
[2]<日>二月十三日日>
[3]<人>日 蓮 <花押>花押花押>人>
[4]<先>御返事先>