孝子御書
328 孝子御書
御親父御逝去の由、風聞真にてや候らん。貴辺と大夫志の御事は、代入末法生を辺土にうけ、法華の大法を御信用候へば、悪鬼定て国主と父母等の御身に入かわり怨をなさん事疑なかるべきところに、案にたがふ事なく親父より度々の御かんだうをかうほらせ給ひしかども、兄弟ともに浄蔵・浄眼の後身か、将又薬王・薬上の御計かのゆへに、ついに事ゆへなく親父の御かんきをゆりさせ給て、前に立まいらせし御孝養心にまかせさせ給ぬるは、あに孝子にあらずや。定て天よりも悦をあたへ、法華経・十羅刹も御納受あるべし。其上、貴辺の御事は心の内に感じをもう事候。此法門、経のごとくひろまり候わば御悦申候て◯。穴賢々々。
兄弟の御中不和にわたらせ給ふべからず。不和にわたらせ給ふべからず。大夫志殿の御文にくはしくかきて候。きこしめすべし。恐々謹言。 弘安二年二月廿八日 日蓮 [花押]