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日眼女釈迦仏供養事

第二巻 定本番号 20327 弘安2(1279) 分類: 真蹟曽存

祖寿: 58 対告衆: 四條女房 著作地: 身延 真蹟: 身延山(曽) 

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    327   日眼女釈迦仏供養事
御守書てまいらせ候。三界主教主釈尊一体三寸木像造立檀那日眼女。御供養御布施前二貫今一貫[云云]。
法華経寿量品云或説己身或説他身等[云云]。東方の善徳仏・中央の大日如来・十方の諸仏・過去の七仏・三世の諸仏、上行菩薩等、文殊師利・舎利弗等、大梵天王・第六天の魔王・釈提桓因・日天・月天・明星天・北斗七星・二十八宿・五星・七星・八万四千の無量の諸星、阿修羅王・天神・地神・山神・海神・宅神・里神・一切世間の国々の主とある人、何れか教主釈尊ならざる。天照太神・八幡大菩薩も其本地は教主釈尊也。例せば釈尊は天の一月、諸仏菩薩等は万水に浮る影なり。釈尊一体を造立する人は十方世界の諸仏を作り奉る人なり。譬ば頭をふればかみ(髪)ゆるぐ、心はたらけば身うごく。大風吹ば草木しづかならず、大地うごけば大海さはがし。教主釈尊をうごかし奉れば、ゆるがぬ草木やあるべき、さわがぬ水やあるべき。
今の日眼女は三十七のやく(厄)と[云云]。やくと申は譬ばさい(采)にはかど、ます(升)にはすみ、人にはつぎふし(関節)、方には四維の如し。風は方よりふけばよはく、角より吹ばつよし。病は肉より起れば治しやすし、節より起れば治しがたし。家にはかきなければ盗人いる、人にはとがあれば敵便をうく。やくと申はふしぶしの如し。家にかきなく、人に科あるがごとし。よきひやうし(兵士)を以てまほらすれば、盜人をからめとる。ふしの病をかねて治すれば命ながし。今教主釈尊を造立し奉れば、下女が太子をうめるが如し。国王尚此女を敬ひ給ふ。何況や大臣已下をや。大梵天王・釈提桓因王・日月等、此女人を守り給ふ。況や大小の神祇をや。
昔優填大王、釈迦仏を造立し奉しかば、大梵天王・日月等、木像を礼しに参り給しかば、木像説云、我を供養せんよりは優填大王を供養すべし等[云云]。影堅王の画像の釈尊を書奉しも又々如是。法華経云若人為仏故建立諸形像如是諸人等皆已成仏道[云云]。文の心は一切の女人釈迦仏を造り奉れば、現在には日々月々の大小の難を払ひ、後生には必仏になるべしと申文也。
抑女人は一代五千七千余巻の経々に、仏にならずときらはれまします。但法華経ばかりに、女人仏になると説れて候。天台智者大師釈云 不記女等 [云云]。釈の心は一切経には女人仏にならずと[云云] 次下云 今経皆記と[云云]。今の法華経にこそ龍女仏になれりと[云云]。天台智者大師と申せし人は、仏滅度の後一千五百年に、漢土と申国に出させ給て、一切経を十五返まで御覧あそばして候しが、法華経より外の経には女人仏にならずと[云云]。妙楽大師と申せし人の釈に云 一代所絶等[云云]。釈の心は一切経にたえたる法門也。法華経と申は星の中の月ぞかし、人の中の王ぞかし。山の中の須弥山、水の中の大海の如し。是程いみじき御経に、女人仏になると説れぬれば、一切経に嫌はれたるになにかくるしかるべき。譬ば盗人・夜打・強盗・乞食・渇体にきらはれたらんと、国の大王に讃られたらんと、何れかうれしかるべき。
日本国と申は女人の国と申国也。天照太神と申せし女神のつきいだし給る島也。此日本には男は十九億九万四千八百二十八人、女は二十九億九万四千八百三十人也。此男女は皆念仏者にて候ぞ。皆念仏なるが故に阿弥陀仏を本尊とす。現世の祈も又如是。設釈迦仏をつくりかけども、阿弥陀仏の浄土へゆかんと思て、本意の様には思候はぬぞ。中々つくりかゝぬにはをとり候也。今日眼女は今生の祈のやうなれども、教主釈尊をつくりまいらせ給候へば、後生も疑なし。二十九億九万四千八百三十人の女人の中の第一也とをぼしめすべし。委は又々申べく候。恐々謹言。   弘安二年[己卯]二月二日   日蓮 [花押]  日眼女 [御返事]