芋一駄御書
304 芋一駄御書
いも一駄・はじかみ五十ぱ(把)をくりたびて候。このみのぶのやまと申候は、にし(西)はしらねのたけ(嶽)、つねにゆき(雪)をみる。ひんがし(東)にはてんしのたけ、つねにひ(日)をみる。きたはみのぶのたけ、みなみはたかとりのたけ、四山のあひ(間)はこ(箱)のそこのごとし。いぬゐ(戍亥)のすみよりかは(河)はながれて、たつみ(辰巳)のすみにむかう。
かゝるいみじきところ、みね(峰)にはせび(蝉)のこへ、たに(谷)にはさる(猿)のさけび、木はあしのごとし、くさはあめににたり。しかれどもかゝるいもはみへ候はず。はじかみはをひず。いし(石)ににて少しまもりやわらかなり。くさ(草)ににてくさよりもあぢあり。法華経に申あげ候ぬれば、御心ざしはさだめて釈迦仏しろしめしぬらん。恐々謹言。 八月十四日 日蓮 [花押] 御返事